先日行われました
第73回 OPEN BIM cafe!
まず初めにお話し頂いたのは、
ハイビッグ建築図面工房 北野 様 より
「BIMの情報を生かした施工図とプラグイン」です!
京都に本社をおかれているハイビック様では、BIMを最大限に活用して日本クオリティーの2D施工図に近づけられるよう、日々取り組んでいらっしゃるそうです。今回はモデルから切り出した施工図の作成等BIMの取り組みとRevitプラグインについてお話頂きました。
BIMには2D図面の不整合の改善や作業の効率化が期待されるところですが、実際はモデルと連動することにより、知らないところで寸法が飛んでいたり、3Dで見える化できる反面2Dに比べて予想以上に修正時間がかかってしまいます。
BIMで書き足したり、時間をかければ2D図面と同じ表現はできますが、はたして効率的だろうか、BIMと言えるのだろうかといったハードルがあります。
そこで、すべてをBIMで網羅し解決する必要があり、必須事項が以下のようになると考えていらっしゃるそうです。
全体構成の確定
テンプレートでの極限のコントロール
ファミリの仕込み具合
データの軽量化
プラグインシステムの開発
プラグイン開発のテーマとされたことが、同じ作業を効率よくするためのコマンドとRevitでできないことをできるようにするシステムだそうです。
実際に寸法の自動一括作図や複数種類のタグの一括自動配置コマンドをお見せ頂きました。寸法値の調整は必要ですが、全体、芯割、フカシといった寸法がほんの3分程で自動配置されました。ちなみに371箇所です!
また、タグのレベル表記も0値はちゃんと±0という表記になっていますし、符号のフカシ情報も入っています。2G1のように階数も読み取れる符号といった日本の施工図の細かい表現もファミリを増やすことなく可能になっていました。
他にも平面ビューの自動作成や足場の簡易入力、ファミリ検索といったコマンドもご紹介いただきました。Revitは細かい検索ができないため、特定のパラメータを持つファミリ検索ができると作業の効率化はもちろん、操作のストレスがかなり軽減できそうです!
また、会社独自のニーズにも応えられるようプラグインシステムの開発協力もされているそうです。今後も日本クオリティーの施工図に対して、妥協しない3次元施工図を作り上げ、品質向上や作業の効率化を生み出せればということでした!
続いては、
大林組 焼山 様 で
「建築設備におけるワンモデル BIM の取組み」です!
大林組様では、BIMを基盤とした業務プロセスの変革として、意匠/構造/設備を統合するワンモデルに取り組まれています。今回は設計段階から建物の維持管理といったところまで、主に設備の面からお話頂きました。
以前のワンモデルは形状の統合が主体で、情報は各ソフトが独自に管理していましたが、BIMの中の情報も使えないと意味がないため、2017年からは形状と属性も統合し、各分野の関係者と同一ルールの元に協働するスタイルに移行してきているそうです。
そのため、自社でモデリングルールと運用ルールを決めて、アウトプットの品質維持に努めているとのことです。
機器プロットやダクト・配管ルーティングといった設備BIMの関わり方については、他分野と同じプラットフォームで作ることが理想とされています。例えば、建築モデルがRevitなら設備もRevit MEPで入力が理想ですが、現状は設備BIMで入力されているようです。RebroだとダイレクトリンクでRevitに統合されているようですね。
ワンモデルは、意匠、構造、設備各分野の関係者が同時に入力・編集が可能な状態にあるという事も意味します。建築モデルがもつ部屋名や部屋諸元表といったものはいつでも取り出せるようにしておけば、設備BIMで同じ情報を2度入力しなく済みますね。
また、各種設備計算などコンピューターでできることはコンピューターできるように、メーカーが自社の機器オブジェクトを提供したり、設備BIMソフトで属性情報をデジタルで提供したり、BIM連携計算ソフトを開発したりといったことができれば良いのではないかとのことでした。
空調設備設計のフローも見せて頂きましたが、建築では軽微な変更と思われるものでも、設備からすると条件の変更でまた一からやり直しといった場合もあるそうです。他分野BIMとの連携ができたり、BIM連携計算ソフトがあれば、生産性向上につながるのではないでしょうか。
最後にデジタルツインの具現化として、「BIMWill」での建物維持管理の実施例をご紹介いただきました。仮想空間と現実空間をつなぐものが、建設業界ではBIMモデルとなるそうです。
BIMWillは建物情報の統合プラットフォームで、テナントの問合せリスト、機器リストやエラー情報、またIoTで現状の温度データを平面で見られたりといったことができるそうです。もちろんBIMモデルも見ることが出来ます。1企業の力では対応できない領域でも、複数の企業の組み合わせによりこういったプラットフォームを作ることが出来るのですね。
BIMモデルを維持管理モデルに整備するまでは、意匠/構造/設備などの分野ごとにどのような情報を付加するのかBIMデータのマッピングが必要になるそうです。一番の課題はBIMモデルが施工図、現状と必ずしも一致しているわけではないため、最終確認は人で行ったそうです。
各分野、各段階で協働したBIMモデルがそのまま建物維持管理に使えるようになれば、建物のデジタルツインも広がっていきそうですね!
さあ!パワーディスカッション!!
次回は、2020年3月19日(木)!!
募集開始は、2月3日(月)の正午からです!